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後遺障害が残ってしまった場合の補償について

目次

後遺障害とは

後遺障害とは、入通院治療を続けたものの症状が残存したまま症状固定となってしまったときに、その残存した症状のことをいいます。

症状固定とは、労働災害による傷病の症状が安定し、医学上一般に認められた医療を行ってもその医療効果が期待できなくなったとき状態を意味するとされています。

労災では、症状固定となって後遺障害がある場合も書類上は「治癒」と表現されます。「治癒」というと完治したというイメージですが、労災でいう「治癒」は、治った治らないにかかわらず「治療の終了」という意味で使われています。

裁判例上も、「労災保険法上の治癒とは、症状が安定し、症状が固定した状態にあるもので、治療の必要がなくなったものをいい、疾病にあっては急性症状が消退し、慢性症状が持続していても医療効果を期待しえない状態となった場合をいう」とされています(東京高判H5.12.21)。

「治癒」までは医療効果があり治療の必要があるため労災保険から治療費等が支給されます。しかし「治癒」となると、完治していなくても症状固定というこれ以上医療効果が期待できない=もはや治療を続ける必要のない状態にあるということになります。

そのため、原則として、「治癒(症状固定)」後の治療費については労災保険から支給されなくなります。

障害(補償)給付・障害(補償)年金について

後遺障害は、その部位や内容に応じ障害等級1級から14級が定められており、認定された等級に応じて、障害(補償)給付・障害(補償)年金を受けることができます。

障害(補償)等給付とは、障害(補償)等年金(または、一時金)、障害特別支給金、障害特別年金(または、一時金)の3種からなっています。

残ってしまった障害が、後述する障害等級表の障害等級に該当している場合、その障害の程度に応じて下記の通り支給されます。

  • 障害等級第1級から第7級に該当する場合
    障害(補償)等年金、障害特別支給金、障害特別年金
  • 障害等級第8級から第14級に該当する場合
    障害(補償)等一時金、障害特別支給金、障害特別一時金

また、船員については、労災保険給付に加え、船員保険から給付される場合もあります。

14段階に分けられた障害等級の中で、1級が最も重くなります。等級が重くなればなるほど、受け取れる給付額も大きくなります。

たとえば、第1等級~第7等級の場合は、給付基礎日額の313日~131日分の障害(補償)等年金、第8級~第14級の場合は、給付基礎日額の503日~56日分の障害(補償)等一時金が支給されます。

後遺障害等級表

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後遺障害等級障害(補償)等給付障害特別給付金障害特別支給金
1級年金給付基礎日額×313日分年金算定基礎日額×313日分342万円
2級年金給付基礎日額×277日分年金算定基礎日額×277日分320万円
3級年金給付基礎日額×245日分年金算定基礎日額×245日分300万円
4級年金給付基礎日額×213日分年金算定基礎日額×213日分264万円
5級年金給付基礎日額×184日分年金算定基礎日額×184日分225万円
6級年金給付基礎日額×156日分年金算定基礎日額×156日分192万円
7級年金給付基礎日額×131日分年金算定基礎日額×131日分159万円
8級一時金給付基礎日額×503日分一時金算定基礎日額×503日分65万円
9級一時金給付基礎日額×391日分一時金算定基礎日額×391日分50万円
10級一時金給付基礎日額×302日分一時金算定基礎日額×302日分39万円
11級一時金給付基礎日額×223日分一時金算定基礎日額×223日分29万円
12級一時金給付基礎日額×156日分一時金算定基礎日額×156日分20万円
13級一時金給付基礎日額×101日分一時金算定基礎日額×101日分14万円
14級一時金給付基礎日額×56日分一時金算定基礎日額×56日分8万円
※障害特別支給金について、同一の災害により、既に傷病特別支給金を受けている場合、その差額が支給されます。

給付基礎日額と算定基礎日額については下記のような違いがあります。

給付基礎日額について

労働基準法における平均賃金にあたる金額をいいます。労災事故発生日または医師の診断により疾病の発生が確定した日(賃金締切日が定められているときは、傷病発生日の直前の賃金締切日)の直前3ヶ月の間に、被災労働者が受け取った賃金の総額を歴日数で割った額、つまり1日あたりの賃金額です。
ただし、ボーナスや臨時的な賃金は含みません。

算定基礎日額について

労災事故発生日または医師の診断により病気にかかったことが確定した日以前の1年の間に、被災労働者が受け取った特別給与の総額を365で割った額をいいます。

特別給与とは、ボーナスなど、3ヶ月を超える期間ごとに受け取る賃金のことです。臨時的な賃金は除外されます。
ただし、特別給与の総額が給付基礎年額(給付基礎日額×365)の2割を超える場合には、給付基礎年額の2割にあたる額を算定基礎日額とします。限度額は150万円となります。

給付基礎日額と算定基礎日額では、内容が異なります。給付金額を試算する際には、これらを混同することのないよう注意する必要があります。

障害(補償)給付・障害(補償)年金の申請手続について

提出書類

「障害補償給付支給請求書・障害特別支給金支給申請書・障害特別年金支給申請書・障害特別一時金支給申請書」(業務災害は様式第10号、通勤災害は様式第16号の7)に必要事項を記載し、労働基準監督署長に提出します。

添付資料

①負傷または疾病が治ったこと・治った日・治った時の障害の状態に関する医師や歯科医師の診断書
②障害の状態を証明し得るレントゲン写真等の資料

障害厚生年金・障害基礎年金等の支給を受けている場合は、その支給額を証明できる書類の添付も必要です。

実際の手続にあたっては弁護士に相談しましょう

後遺障害が残り症状固定となったときには、申請書の添付資料として医師の診断書が必要となります。

そのため、主治医に障害給付請求用の診断書を作成していただくこととなります。実は、どのような障害等級が認定されるかが、この診断書の記載内容次第で変わる場合があります。

しかし、一般に医師は、どのような記載をすれば残ってしまった後遺障害に見合った等級が認定されるかということをご存知ありません。

後遺障害の等級は等級が1級異なるだけで賠償金が大幅に変わります。できるだけ多くの補償・賠償を受けるためには、適正な等級が認定されなければなりません。では、実際の後遺症に見合った等級が認定されるようにするにはどうしたらいいのか、その相談先はどうしたらいいでしょうか。このようなお悩みにお答えできるのが、後遺障害等級認定の実務や医療に関する知識・経験を有する弁護士です。

弁護士には、

  • 主治医の作成した診断書の記載内容に過不足はないか
  • 残った後遺症に対して認定された後遺障害等級が適正か否か
  • さらに上位の後遺障害等級が狙えそうか否か

といった相談をすることができ、見込みがあるときは審査請求や裁判を任せることもできます。

ただ、一度認定された後遺障害等級の結果を変えることは難しいケースが多いため、後遺障害が残ってしまう可能性も見据え、できるだけ多くの補償・賠償を受けることができるよう、早い段階で弁護士にご相談ください。

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