保有個人情報開示請求制度とは
国の行政機関(厚生労働省、財務省、総務省等)に対して、その機関が保有している“自分の”個人情報について、開示を請求することができる制度のことです。
この制度は誰でも使うことができますが、開示申請できるのは自分の個人情報のみです。
このページでは、主に労働災害事故に遭われた方が情報開示請求をする場合についてご説明します。
どんな時に使う制度なの?
労災事故のご相談では、次のようなお話を伺うことがあります。
- なぜ私は(家族は)事故に遭ってしまったのか。事故の原因を知りたい。
- (家族が亡くなっている、または事故の衝撃で記憶がないなどで)事故の状況がわからない。事故前後の状況を知りたい。
- もう二度と同じような事故を起こさないでほしいが、きちんとした対策がとられているのか甚だ疑問だ。どのような対策がとられているかを確認したい。
- 会社側に損害賠償請求をしたいが、会社側からは私(家族)に責任があるなどと言われてしまって納得がいかない。本当に私(家族)のせいで起きた事故なのか。会社側の責任は本当にないのか。事故の原因や過失割合を知りたい。
⇒このようなご希望がある場合、「保有個人情報開示請求制度」でそれぞれの疑問に対応する情報を取り寄せることができます。
開示申請者の条件
たとえば「鵠沼太郎さん」の保有個人情報について開示申請をしたいとき、原則として申請者できるのは
- 太郎さん(本人)
- 親権者(法定代理人)(本人が未成年の場合)
- 成年後見人(法定代理人)(本人が成年被後見人の場合※1)
だけです。上記以外の人は、家族であっても委任状などがあっても、申請することはできません。あくまで「“自分の”個人情報を“自分で”取り寄せることができる」制度です。
ただし例外として、本人が亡くなっている場合で、損害賠償請求等の理由がある場合には、父母・配偶者・子等、遺族からの請求が認められる場合もあります※。
※(参考)全国労働安全衛生センター連絡会議
※1:精神上の障害により判断能力を欠くとして、家庭裁判所から後見開始の審判を受けた人
開示の対象
申請先機関が保有している申請者本人についての個人情報全てが開示されます。ただし、行政機関個人情報保護法第14条に定められた「不開示情報」については開示されません。
開示申請をした場合、原則として行政機関個人情報保護法第14条に定められた「不開示情報」以外の情報は開示されます。主な不開示情報を下記にまとめました。より詳しく知りたい方は 厚生労働省のホームページ でご確認ください。
主な不開示情報
- 請求者以外の個人に関わる情報(住所、氏名、生年月日等)
- 国や公共機関、公共事業等の機密情報
- 犯罪捜査などに関わる情報
- 保存期間満了等で存在しない情報
⇒たとえば保有期間が3年と定められている資料の場合、3年前までの資料は開示されますが、それ以前の資料は既に破棄などされていて存在しないため、開示されないことがあります。保有期間はそれぞれの省庁や書類毎に細かく定められていて、1年間、30年間などとさまざまです。
保有個人情報開示請求の流れについて比較
独力で開示請求申請をするのは難しいことから、当事務所では開示申請のサポートサービスをおこなっています。
開示内容の確認や、必要書類の準備、申請手順のご案内など、一般に難しい、わかりにくいといわれる部分については全て当事務所でお引き請けし、最小の労力でお手許に開示資料が届くようにサポートします。
前述のとおり、請求者になれるのは原則としてご本人と法定代理人のみです。弁護士は任意代理人にあたりますので、ご本人様に代わって申請することはできません。そのため、書類上はご依頼者が申請者となり、書類への署名、押印、ポストへの投函など最低限のお手続きはしていただく必要がありますが、それ以外の煩雑な書類の準備などは全て弁護士がサポートいたします。
おおまかな流れとともに、サポートをご依頼いただいた場合と、ご自身で申請した場合を比較しました。
申請するまで
シーライトに依頼した場合 | 自分で申請する場合 |
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準備は弁護士にお任せでOK! 届いた書類に署名・捺印をしてポストへ投函するだけ! | ・開示する内容の検討(自分にはどんな情報が必要か) ・宛先の確認(担当省庁等の確認) ・文書名の確認 ・申請書の作成 必要書類や印紙の確認・準備等を全て自分でおこない、申請します。 |
【不備があった場合】 | |
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弁護士が準備します。 (ご依頼者の記入が必要な場合は、書き方のご案内をさせていただきます) | ご自身で訂正・返送の作業が発生します。 場合によっては、何度もやり取りすることになります。(不備がなくなるまで) 手続き期限を過ぎてしまうと、形式的不備で不開示となります。 |
決定通知書や開示方法申出書が届いたら
シーライトに依頼した場合 | 自分で申請する場合 |
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切手の準備も弁護士任せでOK! 開示方法申出書は、弁護士からの案内に従って記入して返送するだけ! | 切手の準備から開示方法申出書の作成までご自身でおこないます。 |
開示された書類一式が届いたら
シーライトに依頼した場合 | 自分で申請する場合 |
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すべて弁護士にお任せでOK! 開示された資料の精査は弁護士がおこないます。精査が終わったら | 届いた資料を確認します。 ・必要な情報が載っているか |
当事務所にご依頼いただく場合、開示申請のサポートと開示された資料の精査、今後の見通しなどの調査報告を行うプランは5万円(税込55,000円)です。
追加料金が発生する条件や、示談交渉のご依頼をいただいた場合のプラン、民事訴訟をご依頼いただいた場合のプランなどについては、弁護士費用 をご確認いただくか、お気軽にお尋ねください。
次にご自身で開示申請をおこなう場合の流れと、当事務所へご依頼いただいた場合の流れをそれぞれ説明していますので、併せてご覧ください。
【自分で申請する場合】
保有個人情報開示請求の流れ
神奈川労働局に、郵便で労働災害に関する保有個人情報を開示申請したい場合を例にご説明します。
必要書類や印紙等を準備し、申請書類一式を担当する官公庁(例では神奈川労働局)宛へ郵送します。
なお、手数料の不足や書類の不備があった場合には、補正として書類の修正や追送などを求められます。追送した書類等に不備がなければ次の段階へ進めますが、指定された補正期限を過ぎてしまうと「形式的不備」を理由に不開示と決定されてしまう可能性があるので、注意が必要です。
以上が労働局へ情報開示申請して、お手元に書類一式が届くまでの流れです。
開示内容や申請先によって、多少の違いがある可能性があります。
開示内容別申請書のご案内(Word・PDF)
申請書は具体的な書類の名前などを記入する必要がありますが、申請書の作成は初めて申請を行う方にとっては、最初の山場、第一関門ともいえる部分です。
当事務所ではご自身で申請したい方のために、主だった書類を開示する際に使える申請書のテンプレートを公開しています。欲しい情報や書類のタイトルからも探せるようにしていますので、必要な申請書を印刷、ご利用ください。
使用者(会社側)が労働基準監督署へ提出した書類を開示する時
- 労災の起きた詳しい状況や原因を知りたい
- 労災発生後に会社側がとった今後の防止対策や改善状況を知りたい
↓
・保有個人情報開示請求書(傷害事故_使用者が労働基準監督署へ提出した書類用)を使用します。
【Word版】【PDF版】
「労働者死傷病報告」「労災事故発生報告書」「労働災害再発防止対策書」「転倒災害の再発防止のための自主点検等報告書」「是正報告書」「その他一切の報告書」を開示請求します。
医療機関(病院・薬局・接骨院・整骨院等)が作成した書類を開示する時
- 治療費を知りたい
- 処置内容や処方薬を知りたい
- 通院期間や通院実日数を知りたい
↓
・保有個人情報開示請求書(診療報酬明細書関係用)を使用します。
【Word版】【PDF版】
「診療報酬明細書」「施術証明書」「施術費明細書」等を開示請求します。
注意点として、年度ごとに請求する必要があります。
例えば、平成29年4月1日~平成31年3月末日まで入院または通院した場合は、「平成29年度分」と「平成30年度分」2通の開示請求書を提出します。
労働基準監督署が作成した書類(休業補償について)を開示する時
- 労災保険から支払われた休業補償給付の金額を知りたい
- 休業期間や休業日数を証明したい
↓
・保有個人情報開示請求書(休業補償支給決定決議書用)を使用します。
【Word版】【PDF版】
「休業補償支給決定決議書」を開示請求します。
労働基準監督署が作成した書類(労働災害について)を開示する時
- 労災の起きた詳しい状況や原因を知りたい
- 労基署が会社に行った指導・勧告・監督の内容を知りたい
- 障害補償給付における後遺障害等級の具体的な内容や理由を知りたい
- 過労死や過労自殺の案件で、被災者の労働時間を知りたい
↓
「災害調査復命書」「障害認定調査復命書」「保険給付実地調査復命書」「補償給付実地調査復命書」「精神障害の業務起因性判断のための調査復命書」「医学的意見の要否等に係る調査復命書」「是正勧告書」「監督復命書」「安全衛生指導復命書」「指導票」「その他の調査復命書」「その他の是正指導に関する書類」を開示請求します。
【当事務所サービスをご利用の場合】
保有個人情報開示請求の流れ
ご相談をしている中で、ご自身で申請しようと思ったものの「調べることや用意する書類等が多いし、分かりにくい」という声をよくいただきます。
具体的なご質問やお悩みとしては、
- 自分にはどんな情報が必要なのかわからない。
- 自分が必要な情報は何という名前の書類に載っているのかわからない。
- 開示申請先の官公庁がわからない。
<神奈川県藤沢市在住、勤務地:東京都港区、事故地:千葉県柏市の場合>
どの県の労働局、どの市の労働基準監督署に申請すれば良いのかわからない。 - 申請書類の書き方や申請で、何を準備すればいいかわからない。
などです。
保有個人情報開示請求の難しいところなのですが、
「○年○月○日の労災事故に関する資料」といった曖昧な申請では、開示の決定が下りません。
具体的に
「私が○年○月○日に通勤途中に負傷した件で、○○労働基準監督署長が、○○給付支給請求に係る決定を行う際に作成した実地調査復命書及び添付資料一切」
「私が○年○月○日に、仕事中に負傷した件について、神奈川県内の労災指定病院(及び指定薬局)から送付された診療報酬明細書(令和○年度分)」
などと申請する必要があります。
このように申請にかかる作業が煩雑なことから、当事務所では「労働災害情報の開示請求サポート」サービスを行っております。ここではサービスの流れをご説明します。
申請書類の準備が出来次第、ご依頼者へお送りします。当事務所には、豊富な経験によって蓄積されたノウハウがありますので、ご依頼者の状況に応じて必要な情報を判断し、申請を行います。
なお、手数料の不足や書類の不備があった場合は、補正として書類の修正や追送などを求められます。書類等を追送に不備がなければ次の段階へ進めますが、指定された補正期限を過ぎてしまうと「形式的不備」を理由に不開示と決定されてしまう可能性があるので、注意が必要です。当事務所が申請サポートを行う場合には、さまざまな労働災害に関するノウハウがありますので、ご安心ください。
チェックを経て、開示・不開示が決定されます。ご依頼者ご本人の自宅に決定等通知書や開示方法申出書が届きます。申請してから決定通知が届くまで1ヶ月程度かかります。
ご報告の際には、開示された資料の見方なども簡単にご説明します。
弁護士によるサポートのポイント
開示された情報がお手許に届いたら
具体的に知りたい内容があり、開示された書類に目を通してそれで済むという場合はよいのですが、独力で開示をおこなった場合、
- 書類の量が膨大で途方に暮れてしまった
- 専門用語などが多く内容が難しいのでどう読み取ったらいいかわからない
- 書類に目を通したが、損害賠償請求できるのかどうか判断できない
- もし損害賠償請求したらいくら請求できるのか、勝算はどの程度なのかわからない
という状況になり、せっかく情報を手に入れたのに持て余してしまい、行き詰まってしまうことがあるようです。そのような状況に陥った場合でも諦めずに弁護士へご相談ください。
当事務所では、労働災害の被害者の方のご相談を初回無料でお受けしていますので、お気軽にお問合せください。
相手方へ説明や謝罪を求めたい、損害賠償請求をしたいと思ったら
開示された情報を確認していくと、
- 事故原因が会社側にあることが分かったので損害賠償請求したい
- 会社側に謝罪を求めたい
- ご遺族の名誉を回復したい
というようなご希望が出てくるかと思います。
しかし、一般の方が会社側に説明や賠償などを求めても「会社に責任はないので支払う義務もない」などと、すげなく扱われてしまうことが少なくありません。
訴訟にした場合の獲得予想金額や勝算などがわからないまま、独力で訴訟に飛び込むのはおすすめできません。
まず一般の方が書類を見て、開示された情報が示談交渉や裁判に耐えうる証拠かどうか(証拠価値や証明力の程度など)を判断するのは極めて難しいといえます。
また、場合によっては精神的な負担だけでなく、裁判費用等がかさみ、金額的な負担も発生する可能性があります。どれだけ会社側の対応が不誠実でも、損害賠償請求実務の経験豊富な専門家へご相談することをおすすめします。
当事務所へご依頼いただいた場合、まず開示された情報を弁護士が精査し、相手方へ損害賠償請求できるかどうか検討します。そして損害金額の算定と、開示された資料の内容などについての調査報告書を作成します。
開示した資料の見方や、今後の見通し(示談交渉や裁判をした場合の獲得予想金額、勝算、発生する自己負担額の見込み、それらを踏まえて示談交渉や訴訟をすべきかどうか)などについてわかりやすくご説明いたします。
相手方へ損害賠償などを求めていきたいとお考えであれば、場当たり的に交渉を始めてしまう前に、ご相談ください。
最後に
労災事故は、労働基準監督署や会社側が情報や資料を持っていることが多いので、情報開示請求をおこない、しっかりと証拠を集めていくことが大切です。一生のうちに何度もあることではありませんので、わからないことや不安なことがたくさんあると思います。お気軽に初回無料相談をご利用ください。
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