建設現場などでの死亡事故|ご家族が「今」やるべき3つのことを弁護士が解説

建設現場などの事故でご家族を亡くされた——突然のことで、一体何から手をつければいいのか、途方に暮れている方もいらっしゃると思います。

この記事は、そういった労災事故でご家族を亡くされた方に向けたご案内です。ご家族が「今」やるべき3つのことを、弁護士が解説します。

  1. 労災保険を「ご遺族から」申請する
  2. 事故の記録・資料を確保する
  3. 会社への損害賠償を検討する
目次

労災保険はご遺族から申請できます

労災で亡くなったという事故の場合、労災保険の申請は、ご遺族からすることができます

申請先と主な書類

具体的には、労働基準監督署に対して、遺族補償給付などの請求を行います。主に必要になるのは、次のような書類です。

  • 死亡診断書・死体検案書など、死亡の事実がわかる書類
  • 亡くなった方とご遺族の関係を証明する書類(戸籍謄本など)
  • 労災保険の請求書類

会社が手続きに動いてくれない場合でも申請できます

ここでポイントがあります。仮に会社側が手続きに協力してくれなかったとしても、ご遺族から労働基準監督署に申請の書類を出すことで、労災を申請することができます。会社が動いてくれない場合でも、労働基準監督署に相談・申請できます。

遺族(補償)給付には「年金」と「一時金」があります

労災の給付のうち、亡くなったご家族に向けた代表的な給付が遺族(補償)給付です。年金と一時金があります。

  • 遺族補償年金|亡くなった方の収入で生活していたご家族に支払われる年金(例: 遺族1名で給付基礎日額の153日分)
  • 遺族(補償)等一時金|年金を受け取るご遺族がいない場合などの一時金の制度

※受給できる方の範囲・順位には要件があります。

焦って申請する必要はありません。まずはどんな給付があるのか、どういう書類が必要になるのか、一つ一つ整理したうえで申請の準備を進める——これが最初の一歩です。

事故の記録・資料を確保しましょう

手元に残しておきたいもの

2つ目にやってほしいのが、労災事故の記録や資料をきちんと集めて確保しておくことです。例えば、次のようなものです。

  • 事故現場を写した写真
  • 事故の日時・場所・状況のメモ
  • 会社とのやりとりなど、業務での記録

なぜ大事かというと、労災を申請できるかどうかの判断に必要になる場合、会社側の安全対策に不備があったときに損害賠償を請求するための資料になる場合があるです。

労災の調査資料は開示請求できる場合があります

特に労災で損害賠償を請求するときには、労働基準監督署が労災申請について調査した資料が重要なポイントになります。

この労災に関する資料は、ご遺族が開示請求できる場合があります。「保有個人情報開示請求」といって、行政機関が保有する自分の個人情報の開示を請求できる制度です。

対象の例としては、災害の状況を調査した資料(災害調査復命書)や、労働者死傷病報告、安全衛生に関する指導、監督をしたときの資料などがあります。

慰謝料は会社への損害賠償で

労災保険からは慰謝料は支払われません

3つ目の重要ポイントが、会社などに対する損害賠償請求の検討です。労災保険は、制度上、慰謝料は支払われません

では、お亡くなりになったことについての慰謝料は誰に請求すればよいか——まず考えられるのは会社への請求です。ただし、会社への請求が常にできるわけではなく、例えば安全対策に落ち度があったなどの事情を追及して、損害賠償として請求できるかどうかが分かれ道になります。

死亡慰謝料の基準額の目安

亡くなったことへの慰謝料の一つの目安として、次のような基準額があります。

亡くなった方の立場基準額の目安
一家の支柱2,800万円
母親・配偶者2,500万円
その他2,000万〜2,500万円

※あくまで算定基準の目安です。どういった事情があったか、事故の原因が会社側だけにあるのかご本人側の事情もあったのかなどによって、請求できる金額が変わります。詳しい金額は、実際の事故状況や資料をもとに計算します。

前提: 会社には「安全配慮義務」があります

会社には、仕事をさせるうえで従業員の安全や健康に配慮する義務(安全配慮義務)があります。例えば、安全対策をきちんとやっていなかったために事故が発生した場合、その義務違反を追及します。

示談のサインは内容を確認してから

会社に損害賠償を請求するとき、注意してほしいのが示談をするときの内容です。例えば「いくらで示談する」という話し合いになったとき、示談の書面にサインしてしまうと、後からひっくり返すことは難しいです。いったん示談してしまうと、後から追加の請求ができないことが多いのです。

話し合いが進んで金額が決まったときは、その金額が適正なものであるかどうか、きちんと内容を確認したうえでサインする必要があります。サインしてしまう前に、弁護士など専門家に相談することも大事です。

まとめ|3つのことを一つ一つ検討する

  1. 労災保険は、ご遺族から労働基準監督署に申請できる
  2. 事故の記録・資料を確保する(労災の調査資料の開示請求という制度も)
  3. 慰謝料は会社への損害賠償で。示談は内容を確認してから

こういったポイントをきちんと一つ一つ検討していくことで、適切な解決につながります。ただ、労災の制度や安全配慮義務は非常に複雑で、わかりにくいところも多いです。一人で抱え込まないで、まず専門家に相談するのがよいと思います。

よくある質問

会社が労災の手続きに協力してくれません。申請できますか?

申請できます。仮に会社側が協力してくれなかったとしても、ご遺族から労働基準監督署に申請の書類を出すことで、労災を申請することができます。

労災保険から慰謝料は支払われますか?

労災保険からは、制度上、慰謝料は支払われません。精神的な苦痛に対する賠償(慰謝料)は、会社への損害賠償請求で求めていくことを検討します。

会社から示談の話が来ています。すぐにサインしてよいですか?

いったん示談してしまうと、後から追加の請求ができないことが多いです。提示された金額が適正かどうか、内容を確認したうえでサインする必要があります。サインの前に弁護士への相談をおすすめします。

死亡慰謝料の目安はどのくらいですか?

算定基準の目安として、一家の支柱で2,800万円、母親・配偶者で2,500万円、その他の方で2,000万〜2,500万円程度とされています。ただし計算方法は事案によって大きく異なる場合があります。

労災の死亡事故のご相談は弁護士法人シーライトへ

当事務所では、労災被害者の方やそのご家族の方からのご相談を、原則として無料でお受けしております。労災申請や損害賠償請求のご依頼も、初回相談料・着手金は原則0円です(別途、事務手数料3万円がかかります。費用の詳細は費用ページをご確認ください)。

大事なことは、一人で抱え込まないこと。「このままでいいのかな」とお悩みの方、ご家族を亡くされてどうしたらいいのだろうとお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。全国対応(オンライン相談可)です。

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