労災でケガをして治療を受けたけれど、どうにも元どおりにならない。痛みが残る、しびれが残る、体が動かない部分がある。医師から「もう症状固定です」「治療は終わりです」と言われて、この先どうすればいいのか分からない——そんな方に向けた記事です。
痛みやしびれは目に見えないので、ご本人にしか分かりません。だからこそ、痛みやしびれが残ったら、後遺障害の申請を検討しましょう。労災保険には、治療が終わった後に残った障害に対する「障害(補償)給付」という給付があります。
この記事では、労働災害を扱う弁護士が、次の3点を解説します。
- 後遺障害と障害等級のしくみ
- 認定までの5つのステップ
- 申請の注意点(期限・認定されないケース)
労災の後遺障害とは|症状固定で治療の給付は終わり、障害(補償)給付へ
後遺障害=治療を続けても完治せず、身体に障害が残った状態
そもそも後遺障害とは何か。わかりやすく言えば、治療を続けても完治せず、身体に一定の症状・障害が残ってしまった状態です。労災事故で治療を受けていて、だんだん調子が良くなっていっても、どこかで「これ以上は良くならない」「もう症状が変わらない」という時が来ます。
「症状固定」=これ以上の改善が見込めないと判断された状態
「これ以上の改善が見込めない」と判断された状態を「症状固定」といいます。ここがポイントで、症状固定になると、治療費や休業の給付は原則として終了します。
では、後遺障害が残ってしまったらどうすればよいか。症状固定の後は、「障害(補償)給付」という労災の給付を申請する、という流れになります。
障害等級と給付|1〜7級は年金、8〜14級は一時金
後遺障害には、1級から14級までの障害等級があります。数字が小さいほど障害の程度が重い等級で、1級が最も重く、14級が最も軽い等級です。認定される等級によって、給付が「年金」の形になるか「一時金」の形になるかが変わります。
| 等級 | 給付の形 | 給付額の目安 |
|---|---|---|
| 1〜7級 | 障害(補償)年金|毎年支給 | 給付基礎日額の313日分〜131日分 |
| 8〜14級 | 障害(補償)一時金|一括支給 | 給付基礎日額の503日分〜56日分 |
給付基礎日額とは
給付基礎日額は、通常、事故前3か月の賃金(ボーナスなどを除く)をもとに計算した1日あたりの金額です。具体的な給付の金額は、実際に残った後遺障害の程度や、事故前の収入などによって変わってきます。
後遺障害の認定までの5つのステップ
- 医師から「症状固定」の診断を受ける
- 後遺障害の診断書を作成してもらう
- 請求書を労働基準監督署へ提出する
- 審査(書類のほか面談・照会など)
- 障害等級の認定 → 給付
まずは医師から症状固定の診断を受けること。次に、医師に後遺障害の診断書を作成してもらうこと。そのうえで、揃えた労災の請求書類を労働基準監督署に提出します。4つ目がその審査で、最後に、障害(補償)給付の有無や何級かについて判断されたうえで、給付があります。
後遺障害の診断書がとても重要です
診断書の役割|後遺障害の内容・程度を証明する、審査の中心になる書類
5つのステップのうち、医師に書いてもらう後遺障害の診断書が非常に重要です。役割としては、主治医の先生から見て、どの部位にどのような後遺障害が残ったか、具体的にはどのような状況なのかを書いてもらうものです。後遺障害の内容・程度を証明する、審査の中心になる書類です。
記載が不十分だと、適正な等級が認定されないおそれがあります
この記載がきちんとされていないと、後遺障害が残ったのに認定されない、あるいは重い後遺障害なのに軽い等級しか認定されない、といった悪い結果になってしまうことがあります。
ポイント|症状を正確に医師に伝えること
重要なのは、実際に残ってしまった後遺障害——首が痛い、肩が上がらなくなった、といった症状を、きちんと医師に伝えて、診断書に書いてもらうことです。「これくらいで大げさと思われないか」とためらう必要はありません。残っている症状を、正確に伝えてください。なお、診断書の様式は、厚生労働省のWEBサイトからダウンロードできます。
審査の期間の目安は3か月程度
後遺障害の給付書類を揃えて労働基準監督署に出してから、結論が出るまでは、標準で3か月程度と言われています。審査は、書類のほかに、労働基準監督署に行って後遺障害の内容を説明する面談が行われることもあります。
事案や後遺障害の内容によっては、審査に時間がかかることがあります。追加の資料を求められる場合もあります。
申請の期限(時効)は症状固定の翌日から5年
後遺障害の給付にも、時効、つまり期間の制限があります。期限は症状固定の翌日から5年です。
5年はとても長く見えますが、申請しないまま忘れてしまって期限が過ぎると、後遺障害が残っていても給付を受ける権利を失ってしまいます。「症状固定です」「治療は終わりです」と言われたら、早めに準備をして、労働基準監督署に申請の書類を出す。これを忘れずにやりましょう。
後遺障害が適切に認定されないケースもあります
「思ったように後遺障害が認定されなかった」というご相談をいただくことがあります。
認定のポイント|診断書の記載と、レントゲン・MRIなどの検査の記録
適切に後遺障害を認定してもらうポイントは、後遺障害の診断書に医師にきちんと書いてもらうこと、残っている症状について、レントゲンやMRIなどの検査で裏付けとなる所見があるかどうか、ということです。診断書の記載や検査の記録が重要になります。
不服申立て|審査請求という制度があります
後遺障害の給付を申請したが、結果が思うようなものでなかったときには、審査請求という制度で争うことができます。ただ、審査請求をしても、判断が覆らないことも多いです。
ですので、最初に労働基準監督署に申請の書類を出すまでに、きちんと書類を揃えておくこと。これがとても重要です。悩んだら、申請の前に弁護士に相談することをおすすめします。
まとめ|労災の後遺障害で押さえておきたい3つのポイント
- 流れは「症状固定→医師に診断書を書いてもらう→労働基準監督署に申請→審査→等級認定・給付」
- 等級は1級(最も重い)〜14級(最も軽い)。1〜7級は年金、8〜14級は一時金の形で給付される。
- 診断書の記載がとても重要。申請の期限は症状固定の翌日から5年なので、早めに申請する。
よくある質問
- 症状固定と言われました。治療費や休業の給付はどうなりますか?
-
症状固定になると、治療費や休業の給付は原則として終了します。その際に後遺障害が残っている場合は、障害(補償)給付の申請へ進みます。
- 後遺障害の等級によって、もらえる給付はどう変わりますか?
-
1〜7級は障害(補償)年金として毎年支給(給付基礎日額の313日分〜131日分)、8〜14級は障害(補償)一時金として一括支給(給付基礎日額の503日分〜56日分)です。具体的な金額は、残った後遺障害の程度や事故前の収入などで変わります。
- 後遺障害の審査にはどのくらいかかりますか?
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書類を揃えて労働基準監督署に出してから結論が出るまで、標準で3か月程度と言われています。事案や後遺障害の内容によっては時間がかかることがあり、面談や追加の資料を求められる場合もあります。
- 認定された等級に納得できません。どうすればよいですか?
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審査請求という制度で争うことができます。ただし判断が覆らないこともあるため、最初の申請までに診断書の記載や検査の記録をきちんと揃えておくことが重要です。悩んだら弁護士にご相談ください。
労災の後遺障害のご相談は弁護士法人シーライトへ
労災の制度や後遺障害のことは、複雑で難しいというお声も聞きます。当事務所では、労災被害者の方やそのご家族からのご相談を、原則として無料でお受けしております。後遺障害の申請や会社への損害賠償請求のご依頼も、初回相談料・着手金は原則0円です(別途、事務手数料3万円がかかります。費用の詳細は費用ページをご確認ください)。
「症状固定と言われたけれど、この先どうすれば」という段階でも構いません。一人で悩んで抱え込まずに、まずはお気軽にお問い合わせください。全国対応(オンライン相談可)です。
この記事の監修弁護士

弁護士法人シーライト
弁護士 澁谷 大
神奈川県弁護士会所属。労働災害や交通事故の相談実績多数。適正な後遺障害等級認定ができるよう、的確でわかりやすい説明に定評がある。人身損害被害の救済のために、日々努力している。

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